飾り付けやらに立ち働いている人影といっしょになって町のほうに消えてしまった。
 お駒ちゃんは、いままで日本一太郎がよりかかっていた太い丸太の柱に返ってその根元にしゃがんで、襟に顎をしずめて、いったい知りあいの人といって誰が来るのであろうかとぼんやり考えていると、いま日本一太郎がおりて行った梯子を上がって、そこの上がり口の筵をはぐって磯五がはいって来た。
 磯五は、そこに思いがけなく、完全にすて切っていたお駒ちゃんを発見して、びっくりした。それは面白くないやつに出会ったと思ったが、磯五は、多くの女と、こういう場合には慣れているので、すぐ、そのむずかしい空気を笑いほぐそうとするように、自信に満ちた、巧妙な表情をするのだ。大げさに驚いてみせて、それからにこにこした。
「お駒ちゃんじゃあねえか。お前《めえ》は、こんなところで何をしているのだ。人が悪いぜ。さんざ探さしておいて王子くんだりの手妻小屋に隠れていようたあ」
「お前こそ何しに来たんだい。日本一の師匠は、今まで待っていたけれど、行き違いに出て行ったよ」
 磯五は日本一太郎のことなどは興味もなさそうに、その、頭巾の下のほの白い顔をこころもち傾けて、
「どうしたい、おめえ、おれの心がわかってはいないのか」
「そばへ来ちゃいけないよ。あたしゃ、お前の心なんかわかりたかないんだからね――でも、さんざ玩具《おもちゃ》にされてすてられたってことだけは、これでもちゃんとわかっているんだからねえ」
「何をいっているのだ。おめえはどう変わろうと、おいらの心はちっとも変わっちゃいないのだ」
「じゃなぜ、妹だとか何だとか独廻《ひとりまわ》しておきながら、用がなくなったらほうり出したのさ」
「誰もほうり出しゃしねえ。おめえのほうで、追ん出たんじゃあねえか」
「出なくちゃならないようにしたのは、いったいどこの誰だろうね。見せつけに、あのお美代やおしんなんかとふざけたりして――誰だって、見ちゃあいられませんからねえ」
「つまらねえことをいわずに――しかし、ここでおめえを見つけたのは、まだ縁があるというものだ」
「うふっ。相変わらず口がうまいよ。もうこりごり。よりをもどそうの何のと、味なことはいわないでおくれよ、あたしみたいな素寒貧《すかんぴん》の女を相手にしちゃあ、磯五様の估券《こけん》にかかるじゃあないか」

      四

「馬鹿! おめえ
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