と、若松屋惣七どのと知恵をあわせて」
「そのおことばひとつが、頼みでございます」
「うむ」龍造寺主計は、うなずいて、「若松屋惣七という人物は、知れば知るほど、このましい人物である」
「旦那さまと近しくなすっていらっしゃるお方は、みな様そうおっしゃいますでございますよ」
「いや、そればかりではない。なぜわたしが、若松屋惣七どのに肩を入れるか、あんたには、そのわけがおわかりかな」
「御気性が、おあいなさるのでございましょうよ」
「それもあろう。が、第一の理由は、これまでよくあんたのめんどうをみてきてくれたからだ」
お高は、ぱっと赧い顔になった。身をすくませるようにした。
龍造寺主計は、お高のほうへ、平気な顔をつき出していた。
「お高どの、あす発足《ほっそく》じゃ。その前に、ぜひ一つ、きいておきたいことがある。そのために、ちょっとここへやって来たのじゃが、どうだ、わたしのところへ、嫁にきてはくれぬかな」
龍造寺主計は、お高と若松屋惣七との関係を、知らないのだ。まるで、猫《ねこ》の仔《こ》でももらいうける交渉のような、こともなげな切り出し方だが、ふとい声が、ふるえていた。
六
日本ばし式部小路の磯屋の店だ。いそやと書いた暖簾に陽がにおって、天水|桶《おけ》と柳と、行人と犬の影が、まえの往来に濃いのだ。
ひるさがりだ。磯屋五兵衛が、奥の居間へはいって行くと、そこには、雑賀屋のおせい様のてまえ妹ということに触れこんであるお駒ちゃんが、膝がしらがのぞくほどだらしなくすわって、何か反物をいじくっていた。
はいって来た磯五を見ると、ふたつの眼《まなこ》に媚《こ》びをあつめて、にっと笑ってみせた。
磯五はすぐ、あきらかに不愉快な顔をした。たたみを蹴るように、部屋じゅうをあるきまわって、お駒ちゃんがひろげている反物へ、眼をおとした。
「ちっ! へまばっかりやるじゃあねえか。あきれけえって、口もきけねえや」
かみつくようにいった。お駒ちゃんは、平気の平左だ。
「何がどうしたっていうのさ。いつもいつも、がみがみいうばっかりで、ほんとに、面白くない人って、ありやしないよ――いったい、この反物のどこが気に入らないっていうんだろうねえ」
「どこも、ここもありあしねえ。そっくり気に入らねえんだ」磯五は、何か、炎のような怒りに、つつまれてゆくように見えた。「そんなさばけ
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