の関係が気になって、磯五が京阪《かみがた》で何をしたのか、早く聞きたくてならなかった。磯五は、何もいわないのだ。しかし、この龍造寺主計という人の出現で、じぶんと磯五と若松屋惣七さまとのうずまきが、いっそうこんがらかってきそうなことは、考えられるのだ。
 龍造寺主計は、自分のさがしている男は、公儀のおもてはそうでなくても、神仏の眼からは人殺しであるといった。きっとまた、ひたむきの女のこころとからだをもてあそんで、何か悪いことをしたのであろう。お高は、それにきまっていると思った。
 若松屋惣七ほど、磯五の性格をつかんでいるわけではないが、あの人がよくないことをすれば、それは必ず異性に対してであると、じぶんの経験や、その後の磯五に関する見聞によって、お高は、信じ切っているのである。はじめから男を相手どって、それを敵にまわすような、さわやかな人物ではないのだ。
 それが、いま磯五は、龍造寺主計というはっきりした敵を、この江戸に持つことになったのだ。お高は、とんぼとして助けられたきょうの磯五が、何だかみじめに思われてきた。今のように、男対男として、ほかの男のまえに立つと、ずうずうしいうちにも、ぽっちゃりとしてやさしい磯五が、妙に可哀そうに思われてきた。このさき、どうなるであろうかと思った。
 龍造寺主計は、何か考えている。黙って、歩いている。お高は、そっと龍造寺主計の横顔を見た。そこにお高は、磯屋五兵衛とは極端に反対な人間を見た。やわらかい心臓を包んでいる強い線が、龍造寺主計だ。おなじ男で、こんなにも違うものであろうかと、お高は思った。

      二

 龍造寺主計は、それきり何もいわなかった。つれだって、金剛寺坂の屋敷へ帰ってみると、若松屋惣七はまだかえっていなかった。
 龍造寺主計は、もう若松屋惣七に会う必要がなくなったから、待たなくともいいといったが、どこへも行くところがないので、お高の厚意で、若松屋方へ泊まることになった。お高は、佐吉に命じて、龍造寺主計のために、離室《はなれ》に床をとらせた。
 佐吉に、龍造寺主計のめんどうをみさしておいて、じぶんは、居間へ帰った。しばらく起きていて、若松屋惣七のかえりを待ってみたが、帰りそうもないので、寝る支度をはじめた。
 するりと着物を脱いだところへ、ふすまがあいたので、お高は、びっくりした。着物を前へかけて、その場へしゃが
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