できくとして、一体今日の事件の説明はどうなるのです」
警部がいそいで藤枝をよびとめた。
「さつきさだ子からおききの通り。あの通りですよ」
「と云うのは」
「ああ成程。充分判つておられぬのですな、実は昨日林田を訪問したのです。そしてある方法を用いて林田に自己の策戦が全く誤つていることを信じさせた。同時に僕が奴をすでに心の中で捕えていることをはつきりしてやつたんですよ。それで彼は自殺する決心をしたんだ。その道づれにさだ子をえらぼうとしたのです。小川君失礼しようじやないか」
彼はこういうと、私を手で招きながらさつさと室を出た。検事も警部もいささか呆気に取られた形で、われわれの方を見ていたが、藤枝は一向かまわず、そのまま外に出てしまつた。
タクシーを捕えると、彼は、上機嫌で銀座へといそがせた。
四月十七日の事件以来、私ははじめてはればれとした気もちで宵の銀座を歩いた。
「めし時に、演説しちやつて大分腹がへつたよ。どこかでめしを食おう」
藤枝は、いつも彼の行くある洋食屋へ私を案内した。ボーイばかりで女ッ気のない店で客もあまりいない。
藤枝と私はほんとうにくつろいだ気もちでコンソメのス
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