発見はひろ子がさつき、
「もう六時四十分ですわね」
といつて庭から去つてから三、四分後のことだから、多分六時四十分から五十分の間であろうと思う。
それから約十五分後に木沢氏がいそいであらわれて、応急の手当に全力を注いでいるようだつたが全く努力は報いられなかつた。
「溺死ですな。浴槽の中で溺死されたわけです。不思議な現象です。私は、はじめてですよ、こんな場合に遭遇したのは」
この木沢医師は、ジョセフ・スミスの事件を知らないと見え、不思議そうな顔をしていた。
「風呂場の中で、エピレブシーをおこしたとすれば、こういう状態がおこるかも知れませんがね。しかしこのお嬢さんを私は大分長く診ていますが、今まで発作をおこしたような事はないんですがねえ」
8
既に一度ならず、しかして一人ならず、
「ジョセフ・スミス。風呂場の花嫁」
という言葉を云つているので探偵小説、犯罪実話に興味をもたれる読者は、あああれか、とあの有名な事件を思い出しておられるだろう。しかし、私はジョセフ・スミス事件を少しも知らぬ方々の為に一応この事件にふれておこう。
Joseph Smith は最近の英国の
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