ことを心から残念に思つた。もし藤枝がここにいたならば、きつと初江は藤枝にも今の電話の秘密を語つたであろう。

      2

 こう思うと、ここで一人勢力をもつている林田に対して私はいささか反感らしいものを感ぜざるを得ないのである。ひろ子も余りいい気もちはしないと見え、誰がお前達の話をききたがるものか、と云つた風でことさらに私に話題を出してしやべりはじめた。
 戸口で話していた初江と林田はまもなく、用事がすんだと見え、また室に入つて腰をおろしたがなんとなく、気まずい空気がただよいはじめた。
 しかし、この気まずさは次の事によつてすぐ救われた。
 女中のしまや[#「しまや」に傍点]が戸口にやつて来て、ひろ子の方を向きながら、
「お風呂が出来ておりますのですが」
 と云つた。
 ひろ子はちらと私の方を見ながら、
「ああそう、ありがとう」
 と云つてしまや[#「しまや」に傍点]の方を見返したので、しまや[#「しまや」に傍点]はそのまま引き取つて行つた。
「お姉様、お風呂におはいりにならない?」
「ええありがとう。だけど私、今小川さんとお話しているのよ」
「かまいませんよ、どうかおはいり下さ
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