しておおきになつたら、よろしいでしよう。さてと」
木沢氏は金側の懐中時計をとり出して、
「お父様も初江さんも大したことはないと思いますから、じや私は失礼します」
「おやそうですか、僕もちよつと用事があるんです。何、すぐ戻つて来ますよ」
林田はこういいながら、木沢氏と一緒に玄関から出て行つた。
初江はもうすつかり気もちがなおつたらしく、別に自分の居間にひきとつて休もうというようすもない。
ひろ子が父のようすを見に応接間を出て行つた。室にはさだ子、初江、私の三人が残された。
「伊達君はまだ今日は見えませんか」
「はい、今朝からまた警察によばれているのでございますつて。まだ帰されないのでございます。私ほんとに心配で……」
「お察しします」
こうは云つたものの、さて、それからなんと云つてこの人をなぐさめてやつてよいものか、私はいささか困惑してしまつた。
初江も思いは同じと見え、多くを語らない。
折よくこの時ひろ子が戻つて来た。
「さだ[#「さだ」に傍点]さん、伊達さんがいらしつてよ。早く行つておあげなさい」
「まあ、そう、ありがとう」
さだ子はおちついて椅子から立ち上つたが、さ
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