すということは余り大胆すぎるからね。ただ以上、誰の場合でも、一番説明のしにくい所は、一体犯人は昇汞をどうして手に入れたかと云うことだよ」
11[#「11」は縦中横]
「第一回の犯罪においては今いつたように、駿三、ひろ子、さだ子、伊達の四人を疑うことができる。ところで第二回すなわち昨夜の犯罪ではどうだ。このうち、駿三、ひろ子、さだ子の三人はいずれも直接の犯人ではない、といわなければならぬ。皆が皆完全にアリバイをもつていることすでにいつた通りだ。
「ところで始末の悪いことに、今いつたように一番怪しく思われる――すなわち直接の犯人と疑い得べき伊達正男はこの三人のどれとも、ひそかに連絡し得るのだ。では右の三人はいずれも同じ程度に疑わしいかというにそうではない。
「僕は父親になつた経験はないけれども、父が子を殺すということは、姉が弟を殺すというよりもはるかに難《かた》いと思つている。従つてこの場合、ひろ子、さだ子の方が駿三よりも疑うとすれば程度が高かるべきだ。
「ところで、僕はここで君に昨夜の事件のうち、最もデリケートな一点を特に指示したい。それはあのレコードのトリックだよ。犯人
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