ひろ子のはからいで靴が表玄関に廻つていたので私達は玄関の方に行つた。
 林田も帰るつもりと見えてついて来た。ひろ子は送つて来ながら、自動車を呼ぼうと云うのを、林田も藤枝も辞退した。
 靴をはく時、藤枝が思い出したように、ひろ子を呼んできいた。
「あのピヤノの部屋ですがね。あそこのブラインドをいつ誰がしめたか、きいておいていただきたいのですが……」
「あのブラインド? いけませんでしたの? あれは私がさつきしめましたのよ。皆さんがたが外でいろいろ調べていらつしやる間に……」
「あ、そうですか。いやいけないというんじやないのですよ。その時ヴィクトローラに手をふれられたでしようか」
「いいえ、私窓だけしめてすぐ外に出てしまいましたの。何かどうかしておりますの?」
「いえそうじやありません。つまり駿太郎さんがレコードをかけつぱなしにしたままになつてるんですね」
 林田は靴をはき終つて一足先にさつさと行つてしまつた。
「はい、私そう思います」
「それから裏口にたくさんスリッパがあるでしよう。あの中に裏に土のついたのが一足ありますから誰にも云わずに別にしておいて下さい」

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「はい
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