、私は安心して、
「ひろ子さん、ともかくお父様を一緒につれて行きましよう」
と云いながら、ひろ子と共に家に上り、駿三を下の日本座敷へとつれて行つた。
この時二階から足音がしてガラス戸口の方に行くのがきこえたがそれは林田探偵であつた。
私は駿三の為にとりあえず木沢医師をよぶようひろ子にそう云つて再び駿太郎の死体のある所にもどつた(すなわちAという地点)
藤枝と林田が傍に立つている。
「こんな可愛い少年を、ひどい事をする奴だよ。ここの所を石かなんかで一撃やつたんだね。だめだ。全く死んでいる」
藤枝はこう云いながら少年の脳天を指した。
「それにしても、まつぱだかにするとはどういうわけかね。……猿股までとつて……」
林田が重々しい調子で云つた。
「ともかく警察の連中が来るまで手が出せないんだから、兇器でも探すかな」
藤枝はこう云いながら、電燈をてらしつつ、しげつた木々の間を下を見ながら歩き出した。
これはなかば、彼が競争者たる林田英三に対する紳士的礼儀で、自身は、少くとも私が再び死体の所に来るまでは充分に、死体を観察することが出来た筈だから、おくれて来た林田に、一人勝手に死体を
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