決の仕方だよ。ただし、この点に関して、ひろ子が全く嘘を云つたと思うこともできるがね」

      9

「まさか!」
 私は思わずこう云つてしまつた。まさかあのやさしい、ひろ子がそんな嘘をつくとは思われぬ。
「小川、相変らず君は美人を見るとすぐ信用してしまうんだね。困つた人だよ君は。美人に好意をもつのは君の自由だが、凡てを信じてはたまらないぜ。美人はよく嘘を云うものだよ。いや、もつとはつきり云えば美しい女性ほど平気でいい加減なことをしやべるもんだよ」
「だつて」
「だつても何もない。美人がひどい嘘をつく例はいくらも世の中にある。犯罪事件に関してもたくさんあるよ。君はあの有名なコンスタンス・ケントという女の殺人犯人の実話を知つているだろう。更に、マドレーヌ・スミスという美人に至つては、夫を毒殺しておいて、まるで天使のような顔付を法廷で保つていた。おかげで陪審員もすつかりだまされて無罪という判決が下つたじやないか。僕が検事をしていた時にも、十八才の虫も殺さぬような美人が情夫をうちへ引き入れている所を家人に発見されて、あべこべに情夫を泥棒だと云つて訴えて来た事件があつたよ。
「しかし僕はひ
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