近づいたわけなのでございます」
「自分達の目的?」
「さようです。あの二人には、大へんな目的があると存じますの。それについては後で申し上げたいと存じます。そこで昨日の事件ですが、これは不思議にも二十日の事件と正反対で、犯人はどうしても女であるとより考えられませぬ。ジョセフ・スミスは夫でございました。初江には夫はございませんでしたから……」
「全くです。それは私も同感ですよ」
藤枝がほんとに感服したような声を出した。彼は半分ほど灰になつたシガレットを皿にすてると更に一本口にくわえて火をつけた。大変にひろ子の話に興味をもちはじめたと見え、両手をしきりとこすり合わせている。
「私が、さだ子と伊達さんが犯人にちがいないと考えましたのは、いよいよ昨日の事件があつたからでございます。第一の事件の場合は犯人が男か女か判りませんが、第二の事件では明らかに男が活動しております。ところが第三の事件では今申し上げた通り、たしかに女が働いております。第一、第二、第三の事件が仮りに同一犯人によつて行われたとして、一つには男が働き、一つには女が働いている。こう結論をたててまいりますと、さだ子と伊達さんを疑うより外仕方がないのではございませんか」
「ひろ子さん、しかし昨日はさだ子さんはずつと二階にいた筈ですよ」
「はい。はじめは伊達さんと、後では林田先生と」
「伊達君と話していたという場合が疑わしいと云われるのですな」
「無論でございます。しかし、ねえ先生、林田先生と妹が話していたということについて、何か妙なことにお気がつきません」
私は愕然とした。昨日同じようなことを藤枝が私に云つたではないか、私は彼が何と考えるか、全身を耳にして待ちもうけた。
「妙なこと? さあ……」
「こういうことでございますの。第二の事件がおこりました時、あの二十日の夜、やはり妹は林田先生と二人で二階におりました。そうして昨日やはりまた二人で二階に居りました。いいかえればあの二人がさだ子の部屋にいる時、いつも恐ろしい事件が起つているではございませんか」
7
「そうです。そうです。その通りです」
藤枝が突然大きな声で云つた。
「ねえ先生、これはどう考えたらよいでございましよう」
「ひろ子さん、あなたはどう思いますか」
藤枝は、非常にムキになつて訊ねている。
「一言で申せば、林田先生が何かの理由でさだ
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