の通りである。
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(一)駿太郎の死体、楓の木の横に南西に頭を向けて両足を大の字に開き仰向きに仆れていた。無論他殺と認められた。死体はひきちぎられたシャツ[#「シャツ」は底本では「シヤッ」]の一部分が肩のあたりに残つているのを除いて全裸体。着衣は死体の下にあり、シャツはむしり取られ猿又ももぎ取られたらしい。両手を兵児帯で後手に緊縛《きんばく》されている、その帯の端が咽喉部に三巻半ほど巻かれ、これが又|緊縛《きんばく》されており、呼吸は完全に止められている。
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 脳天よりやや前額部に近く鈍器による裂傷一個あり、烈しく出血している。一見これが致命傷らしく、深さは充分骨膜に達し骨を破つている、しかし、咽喉部にまかれた帯による絞殺も可能な場合であるので、撲殺、絞殺いずれがその直接の死の原因であるかは解剖によるにあらざれば明らかでない状態であるが、いずれが先にせよ、時間的には永くも僅か二、三十秒位の間しかない筈である。
 なおこの他に、縛られた手首には皮膚に擦過傷が現れている。
 猥褻暴行の跡はない。
(この最後の一行は、蛇足のようだが、猿又を取つてある所から係官は一応確かめたものと見える)
 死体はまだ温度をもち、検視前二、三十分に兇行が行われたものらしい。
(この点は読者の既に充分知つておらるる所である)
 なお、死体の横に、庭下駄とおぼしきものが一足ちらかつていた。
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(二)駿太郎の死体附近は茂つた木の下なので余り土は乾燥してはいない。しかも判然とした足跡が見出し難い。が東方に向つて靴の足跡が僅かに発見出来る。くさむら等みだれていないので格闘等のあとはない。
 (靴の足跡と云うのは実は藤枝や林田や私のものであると後に判つた)
(三)駿太郎の死体から東南方約十間程の草の中に血まみれになつた拳大の石が発見された。駿太郎の頭部の傷と符合するから恐らく兇器はこれだろうと思われる。
(四)佐田やす子の死体、他殺と認められる。絞殺、恐らく両手を以てやくさつされたものらしい。多少抵抗したらしい跡がある。猥褻暴行の痕跡はない。死体は東の方に頭をむけて仆れていた。右の二の腕に死の直前に受けたらしい大きなあざ[#「あざ」に傍点]が発見された。多分人間の手で掴
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