新春《ノールーズ》* 雲はチューリップの面に涙、
さあ、早く盃《さかずき》に酒をついでのまぬか。
いま君の目をたのします青草が
明日はまた君のなきがらからも生えるさ。
63[#「63」は縦中横]
川の岸べに生え出《い》でたあの草の葉は
美女の唇《くちびる》から芽を吹いた溜《た》め息《いき》か。
一茎《ひとくき》の草でも蔑《さげす》んで踏んではならぬ、
そのかみの乙女の身から咲いた花。
64[#「64」は縦中横]
酒のもう、天日はわれらを滅ぼす、
君やわれの魂を奪う。
草の上に坐《すわ》って耀《かがよ》う酒をのもう、
どうせ土になったらあまたの草が生える!
(65)[#「(65)」は縦中横]
ありし日の宮居《みやい》の場所で或《あ》る男が、
土を両足で踏みつけた。
土は声なき声上げて男に言った――
待てよ、お前も踏まれるのさ!
66[#「66」は縦中横]
よき人よ、盃と酒壺《さかつぼ》を持って来い、
水のほとりの青草の茂みのあたり。
そら、めぐる車*は月の面《おも》、花の姿を
くりかえし盃にしたり、また壺にしたり。
67[#「67」は縦中横]
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