いばかりかかえって労働者の不足を訴えているほどだ。資本主義諸国の労働者が賃銀引下げ、労働強化、租税及び関税の引下げ、小売物価下落の人為的阻止、わずかばかりのいわゆる社会政策費さえの削減等々によって極度に生活水準を引き下げられ、わずかに職にありついている者さえ半飢餓の状態に陥り、ために労働者はまったく生産のための熱意も、創意も失ってしまっているのに、ソビエト同盟では大部分の経営において一日七時間労働制が実施され、五カ年計画の最初の二カ年間に早くも労働賃銀は一割二、三分も増加し、その他社会保険及び福祉基金は同じ二カ年間に三十二億円も増加し、従って労働者は非常な意気と覇気とをもって労働に従事し、驚くべき創造力を発揮している。農村について見ても、資本主義諸国では一般経済恐慌と結びついた農業恐慌の深刻化のため、農産物価格の激落に反して、肥料及び農具代、租税、高利負債等の負担がかえって相対的にまたは絶対的にさえ加重化し、ために貧小農はもちろん中農までもまったく破滅に瀕し、餓死の状態に陥っているのに、ソビエト同盟においては、貧農ばかりでなく中農の決定的多数もまた共同経営に参加し、勤労農民の経済的、社
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