笛吹きながら
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト
鳶《とんび》ア昼寝に(ヤンレ)
  呼びに来る
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト

山で笛吹く(ヤンレ)
  鳶の鳥と
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト
山で昼寝が(ヤンレ)
  してみたい
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト

山で鳶と(ヤンレ)
  昼寝をしたりや
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト
とうと薯芋《とろろいも》(ヤンレ)
  夢に見た
    スツチヤン、スツチヤン
      スツチヤン、チヤン、ト


[#1字下げ]美濃の関の唄[#「美濃の関の唄」は大見出し]
[#ここから4字下げ]
(この謡は美濃国関町の土地唄として書いたもので一名『美濃の関節』と称した)
[#ここで字下げ終わり]

関《せき》と言ふたとて関所もないに
なんのかんのと来てくれぬ

    来る気か来ぬ気か言つてみな
    言ひよによつては ドーンドーン

来いと言ふなら寝ずにも行くが
怖い人目の関がある

    鬼でも棲むよなこと言ふて
    その手でだまさば ドーンドーン

人目|怖《こわ》けりや暗夜《やみよ》においで
関も暗夜はたんとある

    暗夜になつてもツンともない
    かうなりや押しかけ ドーンドーン


[#1字下げ]土投げ唄[#「土投げ唄」は大見出し]

かつぽれ かつぽれ
この土 かつぽれ

池が出来たら
金魚でもいけて

     ヨイト、ヨイトナ

おしやれ姿が
眺めたや

さうとも さうとも
この土 かつぽれ

山が出来たら
桜でも植ゑて

     ヨイト、ヨイトナ

春の咲く花
眺めたや

まだある まだある
この土 かつぽれ

池にや金魚よ
山には桜

     ヨイト、ヨイトナ

わたしや このごろ
土投げた


[#1字下げ]糸つむぎ唄[#「糸つむぎ唄」は大見出し]

今朝《けさ》も雀が
言ふことにや

糸が切れても
 わしや知らぬ

糸も むらなら
 切れもする

切れたからとて
 わしや知らぬ

またも 雀が
 言ふことにや

糸が切れたら
 つなぎやんせ

つないで切れたら
 泣きやしやんせ

泣いたからと
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