よつぴよこ》と
次郎作どん家の 鶏雛と
木小屋さ あがつて
ゐたんだぞ。
だまされ太郎作
鼻黒鼬
『太郎作《たろさく》どんてば 太郎作どん
留守番すべから 往つてごぜえ
だまされ太郎作
『たしかに 留守番
たのんだぞ
太郎作|家《げえ》の鶏の子
『鼬奴 来たらば
なじよにしべえ
鶏の親父
『厩《うまや》の前《めい》ちよで
遊んでろ
鼻黒鼬
『うまいぞ 雛鶏《ぴよつぴよこ》 追つかけべえ
太郎作ア来たても話すなヨ
鼻黒鼬の子供
『親父《とつ》さん 己《おい》らも
追つかけらア
柿の木の上の雀
『己らは なんにも
知んねえぞ
厩の馬
『己らも なんにも
知んねえぞ
背戸籔のみそさざい
『雛鶏ア追はれて逃げたつけ
尻餅つきつき逃げたつけ
井戸端の釣瓶
『太郎作どんてば戻らつせえ
この事 見たらば腰ア抜けべ。
[#ここから1字下げ]
郷土の人と土とに親みの多い二三の方言が、本書童謡中にとりいれてあります。たとへば、「背戸」(第一頁其他)とは家の裏のことです。「てつこ盛つた」(一四五頁)とは、山盛りに盛つたと云ふ意味です。又「雪降り小女郎」(一五五頁)とは、東京で云ふおほわたこわた[#「おほわたこわた」に傍点](背に白き粉のある小虫の名)のことです。晩秋の曇った日などに多く、群つて飛びます。私達の地方(茨城県の北隅)ではこの虫が飛ぶと、軈て初雪の降るしらせだと云つてをります。
[#ここで字下げ終わり]
底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
1986(昭和61)年3月25日初版第1刷
1996(平成8)年5月31日初版第2刷
底本の親本:「十五夜お月さん」尚文堂
1921(大正10)年6月5日発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:大野晋
校正:林 幸雄
2002年5月8日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全9ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング