民謡は社会教化の上にも、強い力をもつてゐたのであつた。

 民謡は限られた階級文芸ではない。土の上の詩人によつて発見される民衆の詩である。

 民謡は国民詩である。
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[#1字下げ]旅人の唄[#「旅人の唄」は大見出し]

山は高いし
    野はただ広し
一人とぼとぼ
    旅路の長さ

かはく暇なく
    涙は落ちて
恋しきものは
    故郷の空よ

今日も夕日の
    落ちゆくさきは
どこの国やら
    果さへ知れず

水の流れよ
    浮寝の鳥よ
遠い故郷の
    恋しき空よ

明日も夕日の
    落ちゆくさきは
どこの国かよ
    果さへ知れず

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(旅人の唄は劇団舞台協会「復活」登場のための作である)
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[#1字下げ]船頭小唄[#「船頭小唄」は大見出し]

[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]

おれは河原の
    枯れすすき
同じお前も
    枯れすすき

どうせ二人は
    この世では
花の咲かない
    枯れすすき

[#2字下げ]二[#「二」は中見出
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