通りやんせ

オホこわ こわや 狐はこわや
こんこん狐が出りや こわや

[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]

急ぎやれ 急ぎやれ この籔は
日暮れにや狐の出る籔ぢや 出る籔ぢや

   さアさ日暮れぢや
      急ぎやんせ

オホこわ こわや 日暮れはこわや
こんこん狐が出りや こわや

[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]

急ぎやれ 急ぎやれ この橋は
雨夜に狐の出る橋ぢや 出る橋ぢや

     さアさ急いで
      渡りやんせ

オホこわ こわや 雨夜はこわや
こんこん狐が出りや こわや
[#改段]

 この本集に採録した『金雀枝』以下十一篇は、その中の二三をのぞくほかは最近の作であり未発表のものも交じつてゐる。
 すでに発表されたものの中には、中山晋平氏の作曲による藤間静枝氏の振付けされたものが数篇ある。
 本集は、自撰集と云ふ意味でなく、なるべく近作を集めたいと云ふ考へを主とした。民謡は純情芸術である。童謡も又純情芸術である。この意味に於て本集の作品中に童謡とみるべきものがあらば、みる人によつて自由でよいのである。

[#地から2字上げ]著者



底本:「定本 野口雨情 第一巻」未来社
   1985(昭和60)年11月20日第1版第1刷発行
底本の親本:「のきばすずめ 現代詩人パンフレット 第壱編」東華書院
   1925(大正14)年2月20日刊
初出:金雀枝「雨情民謡百篇」新潮社
   1924(大正13)年7月刊
   青い芒(第4、5、6聯追加改作)「雨情民謡百篇」新潮社
   1924(大正13)年7月刊
   蜻蛉釣(初出誌未詳 再録)「婦人倶楽部」
   1926(大正15)年8月
   下総のお吉「別後」交蘭社
   1921(大正10)年2月刊
   人形さんよ「令女界」
   1924(大正13)年11月
   お艶(原題 わしの隣人)「都会と田園」銀座書房
   1919(大正8)年6月刊
   こんこん狐(原題 コンコン狐)「婦女界」
   1924(大正13)年12月
入力:川山隆
校正:noriko saito
2010年4月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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