]
梨の番すりや
蜂の子が憎や
子蜂アな
子蜂ア飛んで来て
梨刺した
[#1字下げ]あの山蔭[#「あの山蔭」は中見出し]
山は 霜枯れ
月や細枯れる
お月や出てても
あの山蔭にや
鬼が棲む[#「棲む」は底本では「褄む」]だろ
なヨ 母《かか》や
[#1字下げ]もと米磨ぎの唄[#「もと米磨ぎの唄」は中見出し]
桶をながめてお米が磨げりや
お百姓さんは
田さへながめりや蔵が建つ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
一桶《ひとをけ》磨ぐのにや十桶《とをけ》の水汲み
夜明けの明星は
まだまだチラリだ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
この桶あげなきや仕込みがおくれる
仕込みがおくれりや
お暇《いとま》出される
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
お暇出されりや酒蔵《おくら》とおわかれ
そのときや
あの娘《こ》と泣きわかれ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
そのときやそのときおさらばさらばだ
天道《てんと》さままかせに
足まかせ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
さうなりやこの地へ来年来るやら
当《あて》さへないから
尚更あの娘《こ》と泣きわかれ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
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