て不足を補寫し、舊觀に復したるを以て、現在にては四閣の四庫全書存在する譯なり。北方の三閣の四庫全書は大凡竪一尺五部、横六寸五分程の製本にて、西洋風の假綴の體裁をなし、經、史、子、集により表紙の色を別ち、經部は緑色、史部は紅色、子部は水色、集部は薄鼠色なり。何れも薄き絹を用ひ、册數少なきは一部を一つの板挾みとし、多きものは幾通りにも分ちて板挾みとし、各板挾みには表紙と同色の絹の帶を以てこれを竪に締め、それを更に小箱の内に收め、この箱九箇を一棚の上に載す。その棚は四層もしくは六層にて、これを第一架、第二架等に分つ。たとへば、經部第一架、史部第一架などと呼び、これが檢索の便として、四庫全書分架圖四册を備ふ。此の書は書架の排列せられたる儘を圖して、各箱中に收まれる書名も亦位置を違へず記されたれば、何れの書が經若しくは史の第何架、第何層、第幾箱目にあるかは一目して瞭然たり。北方四閣中、自分の見たるは奉天文溯閣なるが、四閣とも構造は同一なるに相違なし。大體に於ては江南の三閣も亦同じ。此の構造は外部は六間の二層樓なれども、内部は三層に分たれ、下層に經部其の他、古今圖書集成、四庫全書考證等を納め、中層
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