は史部、上層は子、集部とす。三層とも所々に机、椅子等を備へ閲讀に便せり。文溯閣の函數は下層經部その他にて一千五百六十八函、中層史部は一千五百八十四函、上層子、集部は三千六百函あり。これが保存の方法としては、毎年樟腦六十六斤を用ひ、山鳥の羽の塵拂ひ大小十六把を下げ渡して掃除を勵行し、隔年に窓硝子の張替を爲す等の事なりとす。この文溯閣の管理人は主任一人、兼任二三人のみにして、能く自在に書籍の出納を處辨せり。四庫全書の卷數は七萬九千餘卷なれど、自分の知る所にては、その製本の分合より一通三萬六千册と覺ゆれど、乾隆の上諭によれば四萬二千册とも見ゆ。兎に角各書册が殆ど新調の如き體裁を存せるは、閲覽の頻繁ならざるが爲にてもあるべけれど、又能く手入れの行屆けるに感心せり。



底本:「内藤湖南全集 第十二卷」筑摩書房
   1970(昭和45)年6月25日発行
   1976(昭和51)年10月10日第2刷
底本の親本:「目睹書譚」弘文堂
   1948(昭和23)年9月発行
初出:「大阪朝日新聞」大阪朝日新聞社
   1912(明治45)年7月28日
入力:はまなかひとし
校正:菅野朋子
2001年1月27日公開
2006年1月23日修正
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