終わり]郷ありて聲音はよく通へども、地勢の連絡なきを奈何せん。
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附記、松下見林の異稱日本傳には次有伊邪國より好古都國に至る二十一字を脱したり。本居氏の馭戎慨言にも同數の字を脱したるを見れば、本居氏は異稱日本傳によりて説を爲し、三國志の原本をも檢せざりしことを知るべし、其の力を用ひたる考證にあらざること明かなり。然るに其説のよく後人を動かせしは、一は後人の其名に眩せられ、一は國人の自尊心に投ぜしに由るのみ。
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不呼國  吉田氏は薩摩國日置郡日置郷とす。余は伊吹山の邊にある伊吹、即ち和名鈔の美濃國池田郡伊福とす。伊福吉部氏の占據せし地なるべし。
姐奴國  本居氏は之を伊豫國周敷郡田野郷とし、吉田氏は訓で谿とし、薩摩國谿山郡とす。是れ皆姐[#「姐」に白丸傍点]を以て妲[#「妲」に白丸傍点]と爲せるなり。然るに諸本妲に作る者なし。余は之を近江國高島郡角野郷とす。津野神社あり、川上郷廿餘村の産土神にして、都奴臣の祖、木[#(ノ)]角[#(ノ)]宿禰を祀ること、栗田氏の神祇志料に
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