せんので、或は重複することを申上げたり、前のお話と違つた意味のことを申上げたりするかも知れませぬ。尤も前のお話を承はらぬ方が私に取つては都合がいゝのであります、前に專門の方のなさつたのを承はつて居つたら私は全くお話が出來ないやうになつたかも知れませぬ。さういふわけで前の方と違つた事をお話致すやうなことがありましたならば、それは前のお方の方が專門家であり、私の方は素人でありますから、前の方が正しくて私のが間違であると判斷して頂けば確かであります、それだけをお斷り致しておきます。
それから題が少し突飛な題であります。全體今日の講演會の主意は南朝と大覺寺との關係を申上げるといふにあるやうでありますので、私の演題は一寸かけ離れて居ります。元來私は南朝と大覺寺といふやうな題に就て專門に研究も何も致して居りませぬのです。それでは今日のやうな講演會には出ない方がいゝと云ふ事になるのですが、それには少々譯がありますのです、といふのは學問上には關係はありませんが、此大覺寺が斯ういふことをお企てなさるに就て、詰らない掛り合ひからお骨折りをしなければならぬやうなことになつてゐるのです。それは友人の黒板博士
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