ら、おれが連れて来たという、そんなら手前は飯でも食って待ってろ、いまにお伊勢様へ御初穂《おはつほ》を上げるからとて、飯酒をたくさんにふるまった。少し過ぎると連れて来た人が銭を三百文ばかり紙に巻いてくれた、ほかのものも、五十、百、二十四文、十二文てんでんにくれたが、九百ばかり貰った。みんなが言いおるには、はやく地蔵様へ行って寝ろと言う故、礼を言うて、この小屋を出ると、ひとりが呼び留めて、大きな握飯《むすび》を三ツくれた。嬉しくってまた半道ばかりのところを戻って、地蔵へ賽銭上げて寝たが、それより、ぶらぶら一文ずつ貰い、四日市まで行くと、先ごろ竜太夫を教えた男に逢った。その時の礼を言って、百文ばかり礼にやったらば、その男は嬉しがって、久しく飯を腹いっぱい食わぬから、飯を食おうとて、二人で飯を買って、松原に寝ころんで食った。別れてよりたがいにいろいろの目に逢った咄《はなし》をして、その日は一所に松原に寝たり、乞食の交りは別なものだ。それから二人言い合って、またまた伊勢へ行った。
この男は四国の金比羅《こんぴら》へ参るとて山田にて別れ、おれは伊勢に十日ばかりぶらぶらしていたり、だんだん四日市の方
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