気がある。関ヶ原ではまんまと大御所を気取りそこねたが、一向ひるまない。今日はまた、ここでこんな因縁話を聞いてみると、ほんとうに身につまされる。ことに自分と同じ宗旨の大先達であってみると、今日このお墓参りをしたということが、何かのお引合せである。今いう前世というやつのお節介に相違ない。ことに世間の奴等がこれほどの大先達を冷遇して、死んだあとの塔をまで、あちら向きにしてしまうなどとは、不人情と言おうか、冷酷非道と言おうか、言語道断のふるまいである。今日、その流れを汲む道庵がここへ来たからには百人力。
ことに、芝居道の大策士たる女将軍が後ろに控えていて、そのまた後ろには、それは貧乏神とは全く対蹠的《たいせきてき》な大財閥が一人控えている。二人を脅迫して、うんと金を出させて、死せる不遇なる大先輩のために大々的な追善供養をするんだ――と道庵の心中はいきり立っているのを、住職はそこまでは見破ることができません。
三十九
道庵先生は、不日この地に於て盛大なる「貧乏祭」を催し、亡き安然大徳に追善供養すると同時に、この地方の有志をアッと言わせてやろうという野心に駆《か》られつつ
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