すけれど、ハサミを持つと、物差をつかわないで、一分一厘の狂いもなくたちものをしたという話を聞きました」
と言いました。
それそれ、おれは今でも刀を取れば、何人《なんぴと》をものがさないのだと竜之助はいいませんでした。けれどもお雪は、眼が見えなくても、刀は使えるものだとうすうす信ずるようになって、
「それでも先生、もうおよしなさいましよ、ああいう時は早く逃げて、相手になさらないようになさいまし」
「逃げるったって、逃げられないじゃないか」
と竜之助が言いますと、
「全く困ってしまいましたわ。つまり運がよかったんですね」
ここでも運の一字で、偶然と必至とに結論をつけようとしている時、下の座敷で、にわかに足拍子の音が起って、声を合わせて歌い出したものですから、
「木曾踊りが始まりました」
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こころナアー
ナカノリサン
[#ここで字下げ終わり]
節面白く歌う木曾節は、
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こころナアー
ナカノリサン
心細いよ
ナンジャラホイ
木曾路の旅は
ヨイヨイヨイ
笠にナアー
ナカノリサン
笠に木の葉が
ナンジャラホイ
舞いかかる
ヨイヨイヨイ
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