離れた内談だから、中央の高談放言に消されて、その話がよく聞えない。ややあって神楽師《かぐらし》の長老が、
「では、貴殿、ともかく高村卿におあいくだされよ、今明日あたり当地へおつきのはずでござる」
という声だけがよく聞えました。
その晩、薩摩屋敷へまた数名の新来の客がありました。そのいでたち[#「いでたち」に傍点]はみな先日のお神楽師の連中と同じことでありましたが、なかに一人、弱冠の貴公子がいたことを、邸について後の周囲のもてなし[#「もてなし」に傍点]と、笠を取って面《おもて》を現わした時に初めて知りました。
翌朝になって見ると、この貴公子は上壇の間に、赤地の錦の直垂《ひたたれ》を着て、髪は平紐で後ろへたれ、目のさめるほどの公達《きんだち》ぶりで座をかまえておりましたが、やがて、その周囲へ集まったこの屋敷の頭株が、みな臣従するほどに丁寧に扱っているのが不思議で、
「そちたち、わしは飛騨の国を取りたいと思うて、そちたちを頼みに来たのじゃ、助力してたもるまいか」
猫の児をもらいに来たような頼みぶりでこういいましたから、豪傑連中も度胆《どぎも》を抜かれたようです。
その時に例の南条力
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