ありました」
「ははあ、その抜け穴が……」
 さてこそとこの連中が意気込んで、その抜け穴というのを検分に出かけたあとで、七兵衛はソロソロと天井裏を這《は》い出して破風《はふ》を抜け、いつか廊下の下へおり立って見ると、そこへあつらえたように置き据えられた朱塗の賽銭箱《さいせんばこ》。しかも背負い出せといわぬばかりに紐《ひも》までかけてある。
 それを一揺《ひとゆす》りしてみた七兵衛は、行きがけの駄賃としてはくっきょうのもの、抜からぬ面《かお》で背中に載せると、燈籠の闇にまぎれてしまう。
 ちょうど、それと前後して、御行《おぎょう》の松の下を走る二人の者。前に手を引いているのはお絹で、あとのは千隆寺の住職。二人とも跣足《はだし》。
 ほどなく、神尾主膳の屋敷の中へ再び姿を現わした七兵衛。
 その時分、主膳は前後も知らず眠っておりました。
 その一間へ悠々とお賽銭箱を卸《おろ》した七兵衛は、早くも用意の裸蝋燭《はだかろうそく》を燭台に立て、その下で一ぷく。やがて、賽銭箱の蓋《ふた》を取ってかき交ぜ、燭台を斜めにしてのぞいて見ると、これはありきたりのバラ銭とちがい、パッと眼を射る光は、たしかに
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