なく照らし見ようとした刹那、猟犬の縄をゆるめたものですから、犬はまっしぐら[#「まっしぐら」に傍点]に一方へ向いて飛んで行きました。二人がおどろいてその方向を見ると、栗の大樹があって、その根もとに人らしいものがうずくまっている。
勘八は鉄砲を取り直しましたが、兵馬はしか[#「しか」に傍点]と見定め、
「人がつながれている」
これも危険なしと見て近寄ると、繋《つな》がれている人の姿は男でありますけれど、正しくは女でした。
ほどなく宇津木兵馬が先に立ち、猟師の勘八がお銀様を背負って、もと来た炭焼小屋まで立戻って参りました。
そこで、兵馬はお銀様に向い、お銀様の捕われた一団というのが、一定の住所というものを持たずに、全国の山から山を旅して渡り歩く山窩《さんか》というものであろうことを教え、なお山窩というもののいわれを一通り説いた上で、とにかくもその手から逃れたことを、お銀様のために祝いました。けれども、なお充分に合点《がてん》のゆかぬことは、その一団が立派な衣裳道具を持ち、上品な言葉づかいをしていたということで、一般の山窩《さんか》は、もっと野蛮で、もっと兇悪な分子を持っているはず、
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