よってはおりません、私のいうことが本当でございます」と付け加えるかも知れない。
 いい時はいいが、悪い時は、弁信さんのいうことは一から十まで気になる。ああ、悪いことを思い出した。
 そう思うと、しんしん[#「しんしん」に傍点]と淋しくなって、ほんとうに殺された姉さんが、ほどなくこの街道を通るように思われてならない。見ていればいるほどこの人が、ほんとうにわたしの姉に手を下したもののように疑われてならぬ。
 罪という罪は多いのに、夫にそむいて他の男に許した女の運命のみが、なぜそのように酷《むご》いのだろう。わたしには、どうしてもお万殿がそれほどの悪人とは思えない。信長という人の方が、どのくらい無慈悲な、極悪《ごくあく》な男だか知れない――わたしの姉さんだってその通り、優しくって、如才《じょさい》がなくって、うわべだけでない親切気のあった人――ついした間違いが、死を以てするよりほかに償《つぐな》いがないとは、なんという情けない女の運命。
 そんなことを考えれば考えるほど、気が滅入《めい》って、あらぬ人に疑いをかけてみたがったり、世間を呪《のろ》いたがってくる。全くこんな晩には早寝をするにかぎ
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