いてはいるけれども呼吸がせわしくて、その用向は、たしかに物好きや冗談ではなく、真剣の有様が眼に見えるのであります。それですから米友も一概に、それを憤《おこ》り散らすわけにはゆかないで、
「いったい、お前は何しに来たんだ、おいらに何を尋ねようと思って来たんだ」
「さあ、お前さんに尋ねたいのは、あの目の見えない人のこと。あの人を、お前さんはどこへ連れて行きました、それを教えて下さい、お前さんは、きっとそれを知っているに違いない」
「ナニ、目の見えない人?」
 米友は眼を円くしました。
「そう、吉原からお医者さんの駕籠《かご》に乗せて、お前さんがその駕籠に附添ってどこへか行ってしまったということを、わたしはちゃんとつきとめました」
「ふーん」
 米友は、そう言って、女の面《かお》を見ようとしたが、女はやっぱり面を見せません。
「さあ、言って下さい、お前さんが、もしお金が欲しいなら、わたしの実家《うち》へ行って、いくらでもお金を上げるから、あの人の居所を教えて下さい」
 女は、始終ジリジリと米友に詰め寄るかのような勢いでありました。
「うむ――おいらの知っていることで、教えて上げてもいいことな
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