《うな》り出し、改めてその紙の貼られた額面を穴のあくほど見ています。
「惜しいお方ですけれども、剣が悪剣だそうですから、どうも仕方がございません」
「悪剣というのは、そりゃ何のことなんだい」
がんりき[#「がんりき」に傍点]は投げ出すような荒っぽい口調で、老爺を驚かせました。
「どういうわけですか、皆さんがそうおっしゃいます、それがために逸見先生の道場から破門を受けて、その見せしめのために、ああしてお名前の上へ、べったりと紙を貼られておしまいになってから、もうかなり長いことでございます」
「なるほど、そりゃありそうなことだ」
「けれどもまた、その御門弟衆のうちでも、惜しい惜しいとおっしゃるお方がございます。他国からこのお山へ御参詣になった立派な武芸者のお方で、この額を御覧になり、ああ、机竜之助は今どこにいるだろう、あの男に会ってみたい……と十人が十人まで、申し合わせたようにそうおっしゃって、あの額を残り惜しそうに御覧になるのが不思議でございますから、私がその仔細《しさい》を一通りお聞き申しておきました。お聞き申してみると、なるほどと思われることがありますんでございますよ」
「ふむ、そ
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