。親孝行で、そうして餅が好きだったと言いますがね、親孝行で餅が好きだからようございますよ、間違って酒が好きであってごろうじろ、トテも親孝行は勤まりませんや。どうも酒飲みにはあんまり親孝行はありませんね。俺《わっし》の知ってる野郎にかなりの呑抜《のみぬけ》があって、親不孝の方にかけちゃ、ずいぶん退《ひ》けを取らねえ野郎ですが、或る時、食《くら》い酔って家へ帰ると、つい寝ていた親爺の薬鑵頭《やかんあたま》を蹴飛ばしちまいましてね、あ、こりゃ勿体《もったい》ねえことをしたと言ったもんです、それを親爺が聞いて、まあ倅《せがれ》や、お前も親の頭を蹴って勿体ないと言ってくれるようになったか、それでわしも安心したと嬉しがっていると、野郎が言うことにゃ、おやおや、お爺《とっ》さんの頭か、俺《おり》ゃまた大事の燗徳利《かんどっくり》かと思ったと、そうぬかすんですから、こんなのは、とても親孝行の方には向きませんよ。酒飲みがみんな親不孝と限ったわけじゃございませんが、餅の方が向きがようございます。その碓氷の貞光て人は餅が好きで、自分で搗《つ》いては自分でも食い、お袋様にもすすめてね、自分はその餅を食いながら
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