お前さんを尋ねに来たんじゃないか」
 お角ははずむけれども少年は、
「江戸から?」
と言って、前よりは少しく耳を傾けただけのことです。それもお角が無暗に、大難だとか生命がけだとかいうのに引きつけられたのではなく、江戸からと言った地名だけに引っかかったものとしか思われません。
「そうよ」
「江戸には、おばさん、山は無いんでしょう、だから蛇だって、そんなにいやしないでしょう、わたしを頼んで行ってどうするの」
「そりゃね……」
と言って、お角が少しばかり口籠《くちごも》りました。少年は、それに頓着せずに、
「今まで、あたいを頼みに来るのは、山方《やまかた》ばっかりよ。あたいに鳥を追わせたり、蛇をつかまえさせたり、また虫を取って来て天気を占《うらな》わせたりするんだけれど、江戸へ連れて行ってどうするんだろう。それでも、あたい江戸へは行ってみたいよ。お嬢さんとこに、幾枚も江戸の景色の絵があるんだ、それで見て知っているけれどもね、綺麗《きれい》なところだね。おばさん、ほんとうに連れてってくれるなら、あたい行ってもいいよ、おばさんとこに居候になっていてもいいよ」

         八

「それとい
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