こう言っちゃ悪かろうわけはねえんだ。筋が立つところなら、百人でも千人でも斬りねえな、米友も斬りたくなったらずいぶん斬られて上げましょうさ。もし、筋が立たなけりゃ、おいらは、もうお前と一緒にいるのは御免だ、ことによったら、おいらがお前の命を取るぜ、あったらお前を、一人で、こんなところへ抛《ほう》りっぱなしにして置いて、のたれ死をさせるのも業腹《ごうはら》だからなあ」
 米友はこう言って、竜之助の枕許で腕組みをしました。
「済まない、友造どん、お前にはなんとも済まないことだが、筋が立つの立たぬのというたち[#「たち」に傍点]の仕事ではないので、拙者というものは、もう疾《と》うの昔に死んでいるのだ、今、こうやっている拙者は、ぬけ殻だ、幽霊だ、影法師だ。幽霊の食物は、世間並みのものではいけない、人間の生命《いのち》を食わなけりゃあ生きてゆけないのだ、だから、無暗に人が斬ってみたい、人を殺してみたいのだ、そうして、人の魂が苦しがって脱け出すのを見るとそれで、ホッと生き返った心持になる。まあ、筋を言えば、そんなようなものだが、このごろはそれさえ、根っから面白くなくなったわい、人を斬るのも、壁を斬る
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