と言って誰も住人《すみて》の無かったものが、今は立派に人が住んでいるらしくあります。それも商人向きの造作が直されて、誰か然るべき身分の者の別邸かなにかのような住居になっていました。そのほかには、あんまり変ったこともないから米友は、その家の前を素通りをして行ってしまおうとすると、
「あ、おじさんが来たよ、槍の上手なおじさんが来たよ」
バラバラと米友の周囲《まわり》に集《たか》って来たのは、河岸に遊んでいた子供連であります。これは米友がここに留守居をしていた時分の馴染《なじみ》の子供連であります。留守番をしている時分には、米友の周囲がこれらの子供連の倶楽部《くらぶ》になったものであります。子供連は思いがけなくも米友の姿をここに見出したものだから、ワイワイと集まって来て、
「おじさん、槍の上手なおじさん、どこへ行ったの」
「うむ、俺《おい》らは旅をして来たんだ」
「ずいぶん長かったね、ナゼもっと早く帰らなかったの」
「向うで忙がしかったんだ」
「もう御用が済んだのかい、またおじさん遊ぼうよ」
「うむ」
「おじさんがいる時分にはね、みんなしてこの家の中へ入って遊んだんだけれど、今は誰も入れな
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