[やエルトマンのものも系統的に訳されていい頃だろう。ところで云うまでもなく、こうした科学的な哲学史はヘーゲルに始まるのであるが、ヘーゲルの哲学史は鉄塔書院と岩波書店とから併行して訳出されている。この二つの訳書の特色の比較は興味のあることだろうが、手元にないので出来兼ねる。その代りにヘーゲル哲学史の後継者の一人であるL・フォイエルバハの『近世科学史』が私の注目を惹く(上巻・松本義雄氏訳・政経書院版)。これはヨードルのフォイエルバハ全集に依ったもので、詳しくは、『ベーコンからスピノザまでの近世哲学史』であるが、主としてフォイエルバハがヘーゲルの完全な影響の下に立っている時期の著作と見做されている。だがそれにも拘らず一種の近世唯物論史の観がある所に現在この書物の大きい価値があるのである。
 ところが訳には遺憾ながら感心しない個所が多い。単に読みにくい許りではなく、何か非常識な感じさえしないではない。エリザベス女王の後継者はジェームス一世とあるべき所をヤコブ一世とあったり、スターチェンバーとすべき所を、わざわざシュテルン・カンマーとルビを振ったり、フランシス・ベーコンで通っているのをフランツ[
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