的なものに直接触れるものとしては、哲学の他に宗教が存在する、と[#底本では「と」が脱落]考えられている。宗教が何かということに就いても亦殆んど一致した見解がないと云えるが、併し少なくとも宗教が一種の思想乃至世界観に基く何物かだということは動きのない処だ。では哲学と宗教、思想乃至世界観に基き又はそれを正面から相手にする処のこの二つのものの関係を、吾々は今日一般的にどういう風に考えていいか。
 処が両者の関係に就いても亦、古来色々異った関係が存在したし、又従って色々異った見解が並存している。大体から云って区別すると併し、両者が結局に於て一致するか或いは一致しない迄も同じものの二つの異った面とか異った段階とかと考えられている場合と、両者がその密接な事実上の関係にも拘らず本性上、全く相反した相容れないものだと考えられている場合と、の二つに分れる。
 哲学が宗教と一つであり又は同じ側のものだという見解は、卑俗な常識として可なり普及しているように見える。この常識説によると、例えば仏教や印度の哲学に於てのように、知識と信仰とが一致するのが、哲学と宗教とのお互いの極致だということになっている。或いはそ
前へ 次へ
全451ページ中428ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング