とって必要らしく見えた時は、彼等はこのユニフォームで相当得をしたが、一旦学生というものが、就職難や思想運動関係で社会の荷厄介となるや、彼等はこのユニフォームのおかげで社会から散々虐待される。その時は同時にユニフォームの道徳が学生に愈々絶対的な力で以て押しつけられる時期で、方々の学校に於ける断髪令の発布もこのユニフォーム主義の延長なのだ。
 頭髪を勝手な仕方で伸ばす(自由職業人は最も勝手な仕方で伸ばしている)ことは、勝手な服装をすると全く同じに、学生に不当な社会的自由を許すことを象徴する。この象徴を抑えることはやがて学生の本分を思い出す呪縛となるだろう、というわけだ。例は変だが、アメリカの囚人は仲々良い生活を送っているそうだが、ただ良くないのはかのグリグリ頭と妙な被服だということである。之によって囚人の社会的野心を抑えるに事足りるものらしい――つまりユニフォームは人間の階級性・社会秩序を最も露骨に意識的に云い表わすためのもので、学生のユニフォーム着用の事実から、日本に於ける学生層なるものの、階級的(?)意義を推論することも出来るのである。
 併し学生というものは職業の名ではない。それは社
前へ 次へ
全451ページ中152ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング