ァシズムの進行と関係があるのだ。処がこの種の多少とも宗教化したヨーロッパ系ブルジョア哲学の諸代表者が、必ずしも表面上日本ファッショ哲学者ではないということは、今特筆しておかなくてはなるまい。ただそうした哲学者の個人的意図と、またその一応の思想体系範囲とからは独立に、この種のブルジョア哲学が日本ファッショ哲学の道を清め得るものであることに、変りはないのである。
 だから吾々はこう結論してよい。最近の日本に於けるブルジョア哲学の宗教化は、直接に及び間接に日本ファシズム思想の原因となり、又結果であると(之は尤も日本だけに限った事情ではないが)。そして更に又、一般に観念論が如何にファシズム哲学にとって都合のよい教養を提供しているかということが、結論されるのである。ブルジョア観念論がなぜこのように容易に宗教化し得るのか、その説明は前半に述べた処だ。
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 28 現代の哲学と宗教

   一[#「一」はゴシック体]

 哲学が何かということに就いては、従来常識界に於ても思想界に於ても、又学界に於ても、一致した結論は殆んどないと云っていい。哲学は時代によって国民によって、又学派によって、更に又個人によって、事実違っているので、その間に決して完全な一致がない。そればかりではなく、今日のように各思想が国際的に共有化して来ると共に、文化が治者階級と被治者階級とに分裂すると、哲学の階級による相違が相当ハッキリするようになって来る。無論もし何等の共通な性質もないとすれば、同じく哲学という名で呼ぶことは出来ないわけだが、それにも拘らず、哲学が何かということ自身が、いつも繰り返される疑問なのである。
 併し説明の便宜上、哲学というものの主な性質だけをごく形式的に云い表わして見ると、思想の科学[#「思想の科学」に傍点]と云っていいだろうと思う。それは思想を常識的に所有することに満足しないで、之を学問的に一定の確実な根拠の上に立って展開することを意味すると共に、又吾々の眼の前にある多数多種の諸思想に就いて、之を学問的に分析し批判することをも意味している。例えば政治なら政治というものは、常識的には誰でも知っている意義のもので、デモクラシーなるものが正しく又優れた政治原理だと今日の吾々は常識的に信じているが、併しなぜ夫が正しく又優れたものかということに就いては、常識は殆んど何も答える術を有たない。政治学という科学でさえが必ずしもこれのハッキリした根拠を与えるとは限らない。哲学はこうした政治上の思想に向かって、最も広範で又最も統一的な論拠を提供したり、或いは又反対に、之に対する反対のための論拠を与えたりする役割を果すのである。この際、政治学者其の他の専門家の研究はドシドシ活用されるのであって、そういう連絡から云えば、科学[#「科学」に傍点]と哲学との根本的区別はないし又要らないと考えていい。
 自然科学でも数学でも社会科学乃至歴史科学でも、又各種の芸術・道徳・宗教でさえも、皆自分の内に思想[#「思想」に傍点]を持っている。思想を世界観[#「世界観」に傍点]又は狭くは人生観とさえ云ってもいいが、この思想というものによって、吾々の日常生活や生産生活や文化活動の一切が貫かれている。この一貫する思想を掴み出して研究するものが哲学だ、と一応云っていいだろう。但し之は一応の話しで、もっと詳細に又具体的に云おうとすれば、この云い方は欠点に充ちているが、それは避けることの出来ない遺漏である。
 思想の科学、即ち又世界観の科学、と云ったが、の思想乃至世界観という吾々の全生活を一貫するこの普遍的なものに直接触れるものとしては、哲学の他に宗教が存在する、と[#底本では「と」が脱落]考えられている。宗教が何かということに就いても亦殆んど一致した見解がないと云えるが、併し少なくとも宗教が一種の思想乃至世界観に基く何物かだということは動きのない処だ。では哲学と宗教、思想乃至世界観に基き又はそれを正面から相手にする処のこの二つのものの関係を、吾々は今日一般的にどういう風に考えていいか。
 処が両者の関係に就いても亦、古来色々異った関係が存在したし、又従って色々異った見解が並存している。大体から云って区別すると併し、両者が結局に於て一致するか或いは一致しない迄も同じものの二つの異った面とか異った段階とかと考えられている場合と、両者がその密接な事実上の関係にも拘らず本性上、全く相反した相容れないものだと考えられている場合と、の二つに分れる。
 哲学が宗教と一つであり又は同じ側のものだという見解は、卑俗な常識として可なり普及しているように見える。この常識説によると、例えば仏教や印度の哲学に於てのように、知識と信仰とが一致するのが、哲学と宗教とのお互いの極致だということになっている。或いはそ
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