例の重役内藤某から神兵隊に運動資金として四万円の金が融通されていることが判り、而もそれが神兵隊事件の計画を株の思惑材料として重役に提供した報酬に外ならないということが判って来た。安田中佐自身が去る七月四日迄に数回に亘って事件を例の重役に売り込んでいるのであり(尤もその仲介者がその金額の一部分を着服したかしないかという問題があるらしいが)、一方に於て重役側では神兵隊事件をたのみにして借金の言い訳けをしたり、株を大量的に売りたたいたりするかと思うと、他方に於て神兵隊側では、重役からの資金をあてにして挙兵の日を延期したり、再延期に就いて幹部同志の間に対立を産んだりしている。事件は未然に防止されたから、重役は折角あてにした暴利を棒に振って了ったわけだが、ファッショ運動と株の思惑とが結合している点には誠に興味津々たるものがある。
 世間ではこの事件を××××だと云っている。併しこの事件だけが大して特に××××なのではない。何によらず事件を起こすには資金が要ることは判り切ったことで、一見柄の良くない株の思惑売買を利用したからと云って、それだけでこの計画が、金銭上の利欲や売名のためだったとは断定出来
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