日)。
 メートル法施行の主管大臣たる中島商相自身が来年の強制施行には反対だそうで、その理由は知らないが、斎藤首相は、土地台帳の作り替えなどに膨大な経費が要るという理由で、矢張反対だそうである。――だが、第一土地台帳云々という理由にはどれだけの信用が置けるかが判らないばかりでなく、そういう財政上の理由は大したものでもないだろうし、又基本的な理屈でもないだろう。膨大なと云ってもタカが知れている財政上の理由で、今日の政治家が、あれ程足並みを揃えて、力み返えるとは想像出来まい。対英貿易に都合が悪いとかいう理由も同様で本気で信じることは出来ない。一等尤もな理由は恐らく、不慣れのために実生活で間々不都合なことが生じるという点にあるのだろうと思うが、それにした処が、何か国家の一大事であるかのように、支配階級一同が騒ぎ立てるに足るだけの理由とは受け取り難い。
 して見ると、どうも商工省事務当局が、一生懸命で弁解している通り、愛国心[#「愛国心」に傍点]や思想善導[#「思想善導」に傍点]の問題が根本的な動機になっていると考えないわけに行かなくなる。国民同盟の如きは、この強制法を修正することによって、「
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