#「利便」に傍点]と云っても、決して民衆の便利[#「便利」に傍点]を逆に行くという意味ではなく、軍隊用語では民衆の常識的用語を逆にする伝統があるからに過ぎないのだが、利便を便利に直しても国民にとっては依然として具体的にはならぬようだ。之が具体的でないということはつまり夫が例の準戦時的体制から論理的に手際よく演繹出来ないからである。「なお一面」たる所以だ。
 第三の政綱は「挙国一致の外交を具体化すること」であるが、具体化そうというのだから、「挙国一致の外交」そのものは抽象的なものでもいいだろう。実際之は国民がこの間まで充分具体的にはのみ込めなかったものであるが、準戦時体制に不可欠の要素でもあり得る[#「あり得る」に傍点]ことは、民衆は知らぬでもない。尤も民衆は挙国一致外交が必ずしも準戦時体制の一環に限るものではないことをも知っている。北支行動、其他が挙国不一致外交の結果だったというのが本当なら、北支行動の消極化が即ち現在の挙国一致外交であるかも知れぬ、というロジックも成り立つだろう。だが政府はこの政綱をあまり分り切ったことと思ったか、それとも云わない方が苦しい説明を免れる途だと考えたか、
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