て云えば、主観的で分派主義的で、即ち非科学的な人物が少くない。公平無私で客観的で科学的な「学術論文」を、この私党的で主観的で超科学的な惧れのある学者から出来ている教授会の渦中に引っぱり出すのだから、「学術」なるものも決して安心してはいられないのである。
論文の審査員は経済畑からの高垣寅次郎教授と哲学畑からの山内得立教授であり、この二人が之を「学術的」に学位に値する(即ち大学院卒業程度乃至夫以上の学力あることの証拠)と認めて、教授会にかけた処、不思議なことに、いや果せる哉、出席教授二十一名の内、賛成十四票、賛成でもなく不賛成でもなくそうかと云って棄権でもない処の白票が七つ、という結果になって了った。規定の四分の三の賛成者を得ることが出来なかったので、結局この論文は教授会を通過しなかったのである。
そこで驚き且つ怒った杉村助教授は、一方辞表を提出すると共に、論文を岩波書店から出版するに際して、その序文にこの不通過の顛末を書くことにしたそうである。まだその序文を私は見ないから、どういう点に氏の忿懣が集中されているか判らないのだが、助教授団や先輩団が、この問題をキッカケにして教授団攻撃や佐
前へ
次へ
全402ページ中368ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング