さてそこで関東軍がこの宋哲元軍を徹底的に糺弾すべく対策を協議している最中、恰も頃を見計らって、宋哲元軍は、関東軍と国民中央政府とからの警告にも拘らず、満州官吏に対して突如発砲を敢えてしたものである。が、併しこの偶然事は、残念ながらこの××××をあまり面白く展開させるには到らなかった。関東軍の土肥原少将と中国側の秦徳純氏との間の誠意ある会見によって、一、宋哲元氏はチャハル省政府主席と第二十九軍長の職を退き、二、今後省内に於ける排日行為を再発させぬ保証を与え、三、熱河省境一帯地区の支那軍隊を他へ移動して同地域内には今後支那軍を駐兵させないこと等々の覚書を交換することになったからである。つまりチャハル省も亦、河北省と同様に緩衝地帯[#「緩衝地帯」に傍点]だということになったわけである。して見るとこの幕は第一幕のただの延長か繰り返しでしかなかったわけで、興味を有って期待していた不心得な人間達はやや失望したかも知れないが併しそれだけに、早く幕になったのは助かったというものである。――尤もその後、七月に這入ってからも、宋哲元軍は時々満州国へ不法越境しては中国側を恐縮させているのであるが。
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