鉄に出没する匪賊のことどころではなく、正に自分の頭上にあることが気になり出して来るのであって、又々不安に襲われ始めるのである。赤い魔手は新京の近くどころではない、東京の頭上に臨んでいると、ラヂオは悲壮な声で叫んでいるのである。
私は併し、防空演習のラヂオ放送を聞きながら、一種特別な心配に支配されざるを得なかった。と云うのは、又例の××××××がこのラヂオ放送などを耳にして、日本の軍部はこんなことを云ったあんなことを云ったと云って、愚にもつかぬことを×××××××しないかということだ。何も云わなくても云ったという男だから、ラヂオで聞いたことなら見逃す筈はあるまい。尤も仮に捻じ込んで来ても北鉄従業員検挙事件のように逆ねじを喰せることが出来れば心配はないが、こっちの方がそう行かないとなると困りはしないだろうか、というのが心配になり始めたのである。――吾々はこうやって、夫から夫へと不安に駆られながら、段々興奮して行くのではないか、という不安がある。
[#地から1字上げ](一九三四・一〇)
[#改段]
パンフレット事件及び風害対策
一、パンフレットの恩恵
有名な一九三五・六年
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