ているという。初め五年生の某君が友人二三人と相談して月々十銭ずつを寄付すべく造った愛国会だったが、今では全校の六割もの会員を擁していて先生の指導監督は一切受けない生徒の自治団体だという話しである。月々百円程度を国防費に加えても、年十幾億に上る「国防費」に較べればその対照は寧ろ滑稽だが、併しこの献金行為の意味は無論その金額の上にあるのではなくてその精神[#「精神」に傍点]にあるのだ。実は之は国防費の問題ではなくて、国防精神教育の問題なのである。
 併し中学生は何も自分自身で自分を国防精神教育する気持などになる筈はないのであって、彼等自身にとっては問題は国防精神教育にあるのではなく本気に国防乃至国防費にあると想像していいだろうから(尤も彼等の多少×××な英雄主義や小さな仕事欲がそうさせたのなら別だが)この献金行為の教育的意味は中学生自身の側にあるものではなくて別の方面にあるべきものに相違あるまい。之はいわば国防精神教育の実地演習なのであろうが、実地演習というものはそれが単なる演習であって単に教育日程の上で仮構されたものに過ぎぬということを、実習教育される当人達が知っていなくては実習にならぬ
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