い。
 一体東郷元帥は決して日本又は東洋の東郷大将ではないのである。世界の東郷提督なのである。
 日本海海戦の場処は日本海だったが、その頃は朝鮮民族はまだ日本民族とは別なものとなっていたから、名こそ日本海でも国際的な公海で戦ったのだし、相手は云うまでもなく帝政ロシアの軍艦であった。それに元帥の率いたわが軍艦はイギリスで出来たりアルゼンチンの手に渡るのを譲り受けたりしたものだった。そして元帥の武功は全く国際的に響き亘ったものだったのだ。
 多分元帥の大和魂を除いては、その語学や戦略戦術に到るまで、国際的なものだったのである。
 そこでアメリカなどもスタンドレー将軍が弔辞を呈するということが甚だ自然だったわけである。
 併しアメリカでは東郷元帥のこの国際性に対する認識が充分ではなかったようである。アメリカは東郷元帥の国際的な葬儀を弔するのに、国際的な哀悼の曲を以てすべきであった。然るに何事ぞ、わずかに「ニッポン」音楽を以て足れりと考えるとは。アメリカは一体日本に対する正当な認識を欠いている。単に日本の「特殊事情」を、理解し得ないばかりでなく、日本の国際性をさえ理解していない。
「メリケン」
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