郎氏の台湾土産も粋な画だ。
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工芸室は国展の名物で、いつも楽しみにして出掛けるが、良くて安いものは、招待日の朝出掛けて行って、既に赤札とはどう云うわけだ。
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今年の工芸は種類が多くて賑かだ。安い絨氈が傑作である。芹沢と云う人は立派な図案を創る人だ。
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春陽会は国展から見ると、ひどくダラシがない。もう少し近頃流行の厳選に願いたいね。
洋行帰りの下手糞ばかり沢山あっても景気は出ない。
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別付貫一郎と云う人の伊太利風景数点が一ばんよろしい。会友中の洋行帰りではこの人が良い。鳥海青児はいかにも汚い。加山四郎はいかにも拙い。
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出品者の洋行帰りじゃ、画因が古臭くて、乾燥しているが、大森啓助と云うのが、腕は相当たしかだ。他の連中は申合せた様に、南仏の巴里郊外を描いて、まごまごした筆の下手さ加減は、どうだ。外国風景の色の奇麗さだけでは、もう観る方も惑わされはしませんよ。
下手糞が面白がられる情なさ。
と云うのはどうじゃね。近来画壇の一傾向を云い得て妙だろう。
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春陽会と云うところは、恐ろしく会員の不熱心なところだ。長谷川昇
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